『ザ・クラウン』シーズン4の評価レビュー

『ザ・クラウン』第4シーズンでは、第2話「バルモラルの関門」が完璧なバランスと見応えある方法で、シーズンの2つのメインテーマを示しています。他の王室メンバーと共に、スコットランド高地の王家の別荘に滞在するエリザベスとフィリップを演じるのは、オリヴィア・コールマンとトビアス・メンジーズです。

この休暇中に、ある訪問者がやってきます。新首相のマーガレット・サッチャーと、その夫であるデニス・サッチャーです。ダイアナ・スペンサー(エマ・コリン)は、サッチャー夫妻が去ってから戻ってきて、チャールズ(ジョシュ・オコナー)の妻になる審査を受ける準備をするという設定です。

彼らは皆、悪名高い「バルモラル・テスト」(この私邸に新ゲストが招かれる際の洗礼)を受けることになります。このエピソードは2部構成です。まず初めに、サッチャー家の面々が王室メンバーを喜ばせようとするものの、全くうまくいかず、やきもきする様子が描かれています。

敗北を悟りつつも努力を続ける彼らに、王室メンバーは氷のように冷たい態度とその下に潜む嘲笑を容赦なくぶつけます。サッチャー夫妻が去ると、ダイアナが戻ってきます。彼女は大人しく控えめですが、自分の思う通りに物事を進めようとする気概をもっています。

こういったシーンがあるからこそ、『ザ・クラウン』は筆者のお気に入りです。この作品の良さがよく表れていると思います。自己完結的な美しい1時間の中、それぞれの台詞が正確に時を刻み続ける時計のように、計算された確かな正確性をもって構成されているのです。

『ザ・クラウン』は、繊細なニュアンスよりも強く、明確な記号を好む作品です。とても面白く、非の打ち所がない内容で、シカ猟のメタファーなども最高です。

「バルモラル・テスト」から展開される2つのストーリーは、今シーズンの重要なテーマです。マーガレット・サッチャーを演じるアンダーソンは、楽しげに、そして不気味なほどに一貫性を見せる怪演です。彼女のカツラだけでも、現代の傑作と呼ぶにふさわしいと思います。そのサッチャーは、コルマン演じるエリザベスとのシーンで最も輝きを放っています。このシーンで2人は困惑し合い、共通の固定観念や盲点を揶揄するのです。 

一方、ダイアナは、実現しなかったおとぎ話のような結婚に追い込まれ、内心は怒りや葛藤を抱えながらも、最終的には、現代王室の女性らしさの象徴となり、世界から称賛されます。

アンダーソン演じるサッチャーは、女性の恐怖心を見事に表現しています。自身の大義を信じながらも「美徳とは苦しみ、抑制、質素、そして厳しい自制心によって得られるもの」と信じる狂信者の、自責の念に満ちた熱意を描き切っています。

アンダーソンの顎の使い方を見ていると、特に10年後のサッチャーは、頬の筋肉だけでイギリスを制御しようとしているかのようです。恐ろしさの中に、やはり痛々しさを感じてしまいます。

どなたでも絶対に一度は見る価値がある作品に仕上がっています!ぜひチェックしてみてください。